8ヶ国語を話すマルチリンガルの個人ブログ

オンラインニュース拾い読み”The Real ‘Newsweek’ Lawsuit”

アマゾンプライムビデオにハマってます。

アマゾンプライムビデオのやや残念なポイントは、Netflixなどとは異なり「視聴言語」の選択肢が少ないこと。海外映画は「英語音声・日本語字幕」の組み合わせが多いのですが、海外ドラマとなると「日本語吹き替え音声」作品が多いのです。

ちなみに「字幕」は英語でsubtitle、「吹き替え」はdub

I prefer watching dubbed version of cartoon movies.
(吹き替え版のアニメ映画の方が好きです)

I always watch American movies with subtitle.
(アメリカ映画はいつも字幕版で観ます)


1970年にNewsweekであった訴訟がテーマに

今の一番の流行りはアマゾンプライムオリジナルの「グッドガールズ」1970年3月にアメリカの経済誌”Newsweek”(ドラマ内では”News of the Week”に社名が変更)で働く女性46名が職場において女性差別を受けていると訴えた史実にインスパイアされたフィクションドラマです。

アメリカの映画やドラマで気に入ったものがあれば、調べてみたくなる私。毎回ドラマのエンディングロールに表示される”Although this program was inspired by real events, News of the Week and persons working there are fictional.”からもこのストーリーが”Newsweek”で実際に起きたイベントだとわかりますので検索。発見した記事をナナメ読みします!

50年前のNewsweekで何が起きたのか

オリジナル記事(英文)へのリンクはこちら:
“The Real ‘Newsweek’ Lawsuit That Inspired ‘Good Girls Revolt’ Is Important For All Women To Know About” by CAITLIN FLYNN Oct 28 2016

Mad Men※終了後放映されている’Good Girls Revolt’では職場での差別横行が主題として扱われています。News of the Weekで働く女性たちは半永久的に「調査員」として働き「記者」にはなれません。社名は変更されていますが、この物語はNewsweekで実際に起きたイベントがベース。Newsweekで50年前に何が起きたのでしょうか?

この物語はLynn Povich’sによるNewsweek訴訟の体験をもとに書かれたノンフィクション本”Good Girls Revolt”を原作として描かれます。女性は記者として働くことができればラッキー。そんな現状を打開するべく、女性社員たちは雇用機会の均等を求めて社に訴えます。

著者のPovichがジュニアライターとして採用されたのは例外、当時のNewsweekでは女性が記者として抜擢されることはほとんどありませんでした。そんな状況の中Povich達は弁護士のエレノア・ノートンと出会います。そして1964年に発行された公民権のもと、社における女性差別をなくすよう求めてEEOC(雇用機会均等委員会)へ正式に訴えるのです。

数週間後にNewsweekは、女性の記者昼食会への参加とシニアライターとしての雇用を約束しますが、実際には彼女達の雇用状況は大きく変わらずほとんど記事を書かせてもらうチャンスがありませんでした。

1972年、Newsweekの女性社員は2度目の訴えを起こして今度は「より確実な約束を得ました。雑誌社は1974年末までに国内記者の3分の1を女性社員とすること。1975年末までには海外で雇用する外国人記者も3分の1を女性とすること」(ワシントンポスト紙)という公約を得ます。

この公約によってNewsweekの雇用状況は大きく変わりました。しかし長年の差別は女性達に大きくダメージを与えたことは言うまでもありません。そして2016年現在でも職場における性差別は残っていると言わざるを得ません。


記事から学ぶ英語表現

Although elements of the series have been fictionalized, it’s based on
(このシリーズはフィクションですが、〜に基づいて)

史実をもとにした映画やドラマは少なくありません。そんな作品を紹介するのに多用される表現。

When Povich was named a junior writer at Newsweek
(PovichがNewsweekのジュニアライターとなった時)

〜is namedという表現は新しい仕事や二つ名を与えられる時に使われる表現。「〜として抜擢された」あるいは「〜として採用された」と訳しても良いでしょう。二つ名として使われる場合は、Mark Twain was named a father of American literature.(マーク・トウェインはアメリカ文学の父と呼ばれた)。

They found an ally in
(彼らは〜という味方を得た)

これも社会問題などの訴訟をテーマとした映画やドラマの紹介文でよく使われます。味方は個人でも団体でもOK。

This time they got Newsweek to make firm commitments. The magazine promised that by the end of 1974…
(この時、彼女達はNewsweekから確約を得ます。雑誌社は1974年末までに〜を約束しました)

commitmentとpromiseは同義語ですが、前者はより固い印象があります。firmは賢固という意味ですからfirm comittmentで確約、あるいは公約となります。


オンライン記事は平易な英語で書かれている事が多く、コツを得れば読みやすい。マルチリンガルメソッドでも興味のあるテーマで検索してすき間時間で読む事をオススメしています。

次回はこのテーマを、当のNewsweekがどのように紹介するのか拾い読みします。

※Mad Men: アメリカで2007年〜2015年に放映された1960年代の広告業界を描いたテレビドラマ。当時の社会情勢を再現、ドラマ内では喫煙、飲酒、セクハラ、人種差別が描かれていた