サウジアラビアのリヤドシーズン2023に出演して来ました!
毎年10月になると突如として現れるリヤドシーズンは、サウジアラビアがアラビア半島の中心という立地だけでなく、経済、文化、健康、デジタル、観光など多角的な分野において”中心”となるための国家プロジェクト「サウジビジョン2030」の一環として2019年よりスタートしました。
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3回目となるリヤドシーズンは、前年度までとは趣向を変え、10の国別エリアを含む15ゾーンから成り立つ、音楽・芸術・演劇・スポーツなど数千のイベントが開催される期間限定のイベント。
11月21日から3月22日まで開催される会場は、リヤド市中心部から10kmほど、車で20分くらいの距離の場所に突如として現れる仮設遊園地。常設ではなく、毎年、開催期間が終了すると壊して、また新たに作り直すというのです。
今年のリヤドシーズンは、中心に大きな人口池を配し14のエリアが周りに、そして水の都ベネチアを模したイタリアだけが中心に位置します。
正確なリヤドシーズンの面積は分かりませんが、巨大エンタメスペースが設置されるブルバードは220エーカー(約89万平方メートル)と広く、その大きさは東京ディズニーランドの51万平方メートルと比べても、仮設とするには大きすぎる広さ。
来場者数はイベント公式Twitterによると1月時点で早くも1,000万人を超えたと発表され、わずか1ヶ月超で東京ディズニーランドの年間来場者数の半分近く(1,791万人@2018年度)が訪れている計算となります。
歩いて一周すると早歩きでも1時間強かかるほど広いスペースには、それぞれのエリアを代表するレストランやカフェもあります。
フランスゾーンには、日本でもお馴染みPaulが出店し、他にもクレープ屋やカフェが街角に立ち並ぶ様子は、本物のパリさながら。
イタリアではジェラートショップやピッツァリアが、アメリカではステーキハウス、日本では焼きそばやお寿司などのお店が並ぶんです。
合計15日間の滞在中1日も休暇がなかったのと、自分の出演時間が長時間に渡っていたこともあり、ジャパンエリア以外にはほとんど足を踏み入れることができなかったのですが、それでもイタリアでジェラート片手にゴンドラに乗れたのは至福の時間でした。
水の都イタリアから出発し、10分ちょっとでパーク内をぐるりとめぐるゴンドラは個人的に最も推しな乗り物ですが、他にも遊園地にあるようなジェットコースター、ウォータータクシー、ゴーカートのようなアトラクションもありました。
ダンスや演劇、歌などのショーは大きなステージだけでなく、スペインでは街角のような場所で歌を歌っていたし、ジャパンエリアではグレンダイザーの足元にあるスペースで、和太鼓&侍&芸者ショー、空手ワークショップ、ダンスパフォーマンスなどが開催されていました。
入場料は木〜金曜150レアル(約5,200円)、土〜水曜が100レアル(約3,500円)となり、いわゆる子供価格があるのかは不明。
30分タクシーに乗った金額が100レアル、4人で高級レストランで食べるランチが300レアル程度、ホテルレストランで700レアルなので、入場料は少し高めの印象です。
なぜならパークには一人ではなく、必ずと言っていいほど家族で訪れるから。親子と小さいお子さんといった小グループも見かけましたが、大抵はゾロゾロと6~10人くらいで親子3世代で来場するファミリーも多いようでした。
そうなるとチケット代金だけでも数万円程度はかかりますし、飲食やイルカショーなど別代金が必要なアトラクションチケットを購入したらかなりの金額になります。
また現地の人曰く「他にエンターテイメントが少ない」リヤドでは、パークを2回以上訪れる人も少なくないようでした。
というのもサウジアラビアの総人口は約3,600万人、リヤド市だけで見ると約760万人なので、他の都市や海外からも訪れる観光客がいるとは言え、1ヶ月強で1,000万人が来園するにはリピーターが多い証拠。
実際、私に話しかけて来られた方に「先週、広場で話しかけて写真撮ったわね」と写真を見せてもらったことも。これらの理由から、リヤドシーズンを訪れるお客様は裕福な方が多い印象でした。
祭りゾーン、アニメゾーン、メインステージエリア、仲見世ゾーンから成るジャパニズムが詰まったスペースの正式名称は、ジャパンアニメタウンでした。
大きな鳥居と桜の木(レプリカ)が立ち並ぶスペースを抜けると、グレンダイザーがそびえるエリアの側には、鬼滅の刃を体感できるパビリオンがあり、フィギュアなどが購入できるアニメショップ、プリクラ撮影もできるゲームセンターは確かにアニメタウンぽい。
それだけではなく祭りゾーンには、ステージの周りに屋台が立ち並び、焼そば、牛丼、寿司ロール、ラーメンなどが食べられます。
メインステージがある場所は、建物の上に大きく「秋葉原」と書かれた電光サインがあるものの、見た目は渋谷スクランブル交差点そのもの。
また仲見世ゾーンでは浴衣や和傘が購入できたり、ガチャガチャ、茶道体験できるなど、いろんな「日本」が散りばめられているものの、「サウジアラビアではディズニー人気と匹敵するくらいアニメが人気」という前情報にもあるとおり、根強いアニメ人気からのネーミングなのでしょう。
Wiki情報によると、リヤドシーズン前の2022年7月には日本文化を発信するジャパムラというのが同じエリアに設置されていたとのことですし、リヤドシーズン2023開催に先駆け2022年10月末には「サウジアニメエキスポ2022」が開催されていたからかもしれません。
1932年の建国以来、保守的な政策をとっていたサウジアラビア王国では、あらゆる文化やエンターテイメントが「国民に必要ないもの」とされていたそうです。
2016年に設立された「サウジビジョン2030」以降、経済多様化や社会改革に取り組んでいて、2018年から映画館やコンサートホールが設立されるようになりました。
2019年からスタートしたリヤドシーズンは、エンターテイメントとはなんぞや?を探るための一大プロジェクトの傾向が強く、毎年開催するにも関わらず常設とせず、仮設で作ることからも試験的な要素が大きいのではないでしょうか。
冬のリヤドで開催されるリヤドシーズン同様、夏には第二の都市ジェッダにて2ヶ月間、ジェッダシーズンが開催。ここでも毎年に新しい趣向でさまざまなイベントが開催されるとのことです。
3月22日にリヤドシーズンが閉幕して1ヶ月間のラマダン期間を経て、4月23日には開幕するというジェッダシーズンも、昨年以上に大きく豪華なイベントとなること間違いなしでしょう。
これからのサウジアラビアのエンタメに注目です。