8ヶ国語を話すマルチリンガルの個人ブログ

誰にも聞けないお金の話はこの1冊で。『京都かけだし信金マンの事件簿』

この本の何が素晴らしいか。一言で言うなら「しっかりと感情移入ができる」ことだと思います。まさに、ストーリーの力を使って知識をしっかり定着させる、を体現したお金の書

お金と言うのはタブーとされているように思います。日本には「武士は食わねど高楊枝」と言う言葉がある通り、お金より気位を大切にせよと言われて育った人も多いのではないでしょうか。

私は幼少の頃から「働かざるもの食うべからず」と言う親に育てられ、高校入学と同時にお小遣いがなくなりました。短大からは自分で働いたお金で進みましたので、お金の大切さについては身を以て学んできたつもりです。

しかしお金に働いてもらう投資と言うアイデアについては金融機関で働いていたにも関わらず、ちゃんと理解しようとしてこなかったように思います。「働かないで得たお金=汚いお金」と思い込んでいたからです。資産投資で利益を出している人を羨ましく思いながら、なんとなく後ろめたくて学ぼうとして来なかったのです。

投資や金融についての本はたくさんありますが、難しい言葉ばかりが並べられていて、読者目線で描かれていないのが気になっていました。そんな中出会ったったのが『お金が貯まるのはどっち?』(アスコム)の菅井敏之さんです。

菅井さんがこれまで書かれた本はすべて拝読していますが、今回は小説にチャレンジされたと言うことで、楽しく読ませていただきました。

じわじわホロリなエンタメ小説

半沢直樹が銀行大手銀行を舞台にしたサラリーマンのバトルドラマだとしたら、この本は京都の信用金庫を舞台にしたジワリと心に効くちょっと残念なサラリーマンの物語『京都かけだし信金マンの事件簿』

ストーリーは入社3年目の、地頭はいいのに仕事もプライベートもいまいちの主人公(東京出身)が、とある謎の金融事情に詳しいホームレスおじさんと出会う場面から始まります。そして彼は自分の評価アップ・ダウンに関わらず「御役に立てたなら光栄です」と言うちょっとダサい決め台詞を武器に、プライドが高い京都の商人(あきんど)さん達から叱られながら成長していきます。メインテーマである投資の話だけではなく、創業支援でお金を借りる方法、うつ病の人への寄り添い方、気になる女性へのアプローチ方法など、1冊には人生の先輩からの多岐に渡るヒントがギッシリ。


330ページと分厚めですがとても読みやすいので、普段小説をあまり読まないと言う方でもサクサク読めます。オススメ度100%です!

個人的には東北出身のはずの菅井さんが京都と自転車に詳しかったことに驚くとともに、京都弁の自然さにまいりました。

40万人が読んだ、お金の教科書的1冊『お金が貯まるのは、どっち!?』まだ読んでいない方はぜひ。