8ヶ国語を話すマルチリンガルの個人ブログ

イギリス食い倒れ紀行〜その1〜

イギリスといえば「食事がおいしくない」と言われていますが、それは間違いです。確かにイギリスの家庭料理は全体に味付けに深みがなく、野菜はゆでるだけ、お肉は焼くだけといったイメージがあります。しかしちゃんと行く場所を知っていれば、イギリスでもおいしいお食事にありつけます。またアメリカの中規模都市以上に人種のるつぼ化した、大都市ロンドンには移民も多く、各国のおいしい料理も食べられるのです。今回は1週間とタイトスケジュールだったので、全ては網羅できませんでしたが、日本でなかなか食べることができない、イギリスならではの食事をご紹介します。

目次

イギリスはパブフードなしに語れず



イギリスではバーのことをパブ(Pub)と呼び、ドリンク一杯ごとにお会計をするのが主流。日本ではアイリッシュパブの方が多いですが、イギリスのパブもよく似たスタイルです。日本のパブでも食事ができてメニューといえば、フィッシュ&チップスなどのフィンガーフード(おつまみ)が主流です。確かにイギリスのパブにもおつまみはあります。しかし特にイギリスの田舎ではオシャレなレストランや、日本のようなフランチャイズのファミリーレストランがありませんので、外食をする場所といえばパブになります。

私がホームステイしていた家近くの街ではパブ・郵便局・食料品店が一緒になったお店が1軒のみあっただけ。ですのでちょっと外食するならパブに行く、となるのです。さて、パブフードといえばやはりフィッシュ&チップス。「どうせ揚げてある魚とポテトでしょー?」と思うことなかれ。イギリスで食べるフィッシュ&チップスは本当に美味しい。まずお魚は白身で大ぶりのもの(タラが多いらしい)が使われますが、新鮮でプリプリ。そしてポテトはざっくりと太めにカットしたものが揚げたてで出されるので中までホクホク専門店だとソルトとモルトビネガーでいただくことが多いですが、ケチャップを使うのも良し。ちなみに写真ではタルタルソースがついていますが、通常の専門店では出てきません。

次に代表的なパブフードはハンバーガー。あれ?ハンバーガーってアメリカの食べ物じゃない?うーん、もともとそうかもしれませんが、今ではイギリス人にも愛されています。もともとイギリスの食文化はサンドイッチが多いので、ハンバーガーもサンドイッチの一種として広まっているのかもしれません。イギリスのハンバーガーは肉100%のパティ、トマト、オニオンがバンズに挟まれているのが主流。日本でも近年はやっているグルメバーガースタイルです。

そして他にぜひ食べていただきたいのが、ステーキパイ。食べかけの写真を撮ればよかったのですが、ビーフシチューが入った容器にパイが被せてありオーブンで焼いたものです。付け合わせによくあるのがベイクドポテトとベジタブル。アメリカと違ってサイドメニューを選ぶというスタイルはあまり一般的ではありません。

他にもステーキやグリルソーセージなんかもあります。付け合わせはチップス(フライドポテト)かオシャレなお店ならサラダ。

パブフードは言い換えると「ビールがすすむ料理」なので、お酒を飲まない方にはややしょっぱいか、味付けが濃いかもしれませんがシンプルだけどおいしい。ロンドンなどの都会ならレストランも多く、どこで食べるか選びたい放題ですが、田舎の街だとパブかホテルのレストランしかないことも。そんな時にはぜひ、ローカルビールを飲みながら、パブフードを楽しんでみてください。

イギリスといえばビール、ビール、ビール!

普段はビールを飲まない私も、ヨーロッパに行けばビールを飲みます。どちらかというと日本で好まれるラガーよりも、泡がクリーミーなものや、エールが好きかな。イギリスには田舎の小さな街のパブが発祥というビールも結構多くて、田舎町のパブにふらっと行くと、オリジナルビールが飲めることもあります。初めてのお店に入ったらぜひ”Is there any local beer?”(ローカルビールはありますか?)と聞いてみてください。私の場合は”I usually like something creamy.”(少しクリーミーなのが好きなんです)と付け加えると、何種類かある場合はその中から私好みのものを選んでくれます。ヨークのパブでは”Would you like to taste?”(味見してみる?)と試させてもらえました。ちなみにイギリスで頼むビールの単位はa pint(パイント)568mlかhalf pint(ハーフパイント)280mlです。

やっぱりイングリッシュブレックファーストは譲れない

イギリスを代表する食べ物といえば、イングリッシュブレックファースト。同じヨーロッパでもフランスはクロワッサンとエスプレッソだけ、ドイツでもパンにハムとチーズとコーヒーなど、シンプルなものが多い中、イギリスの朝ごはんはしっかりしています。今回泊まったホテルにはビュッフェスタイルの朝ごはんがついていましたので、イングリッシュブレックファースト風にアレンジしてみました。まずは新鮮なフルーツとヨーグルト。そしてベーコン、ソーセージ、焼きトマト、ハッシュドポテト、ベイクドビーンズ、マッシュルーム、卵。これに薄いトースト数枚。そして濃いめのコーヒー(か紅茶)。全てしょっぱいです。今回、ホテルの朝ごはんで出されたソーセージは全てチキンソーセージでした。観光客が多いイギリスなので、中東やイスラム圏からのお客さんに気を使っているのかな。朝からしっかり食べておくと、昼過ぎまでゆっくり観光ができますからね。ホテルの朝ごはんが充実している場合はぜひ、イングリッシュブレックファーストを満喫してみてください。

 

観光に疲れた午後のひとときはアフタヌーンティーでまったりと

もともとは貴族の間で始まったとされるお茶の習慣ですが、今では一般の人まで広まっていると聞くと、日本の茶道文化を思い出します。茶道ではお茶やお茶碗、そして作法を大切にしますが、イギリスのお茶文化は作法もそうですがそれよりは会話がメイン。そしてアフターヌーンティーは女性の文化だと言えると思います。映画「タイタニック」の中でも、男性は葉巻を燻らせながらブランデーを楽しみ、女性は噂話に花を咲かせながらティーを楽しんでいるシーンがありました。現在でもアフタヌーンティーは少しオシャレな社交の場ですので、リッツなどの高級ホテルや、伝統的なティーサロンで、誰かと一緒に楽しむことをオススメします。イギリス人に人気のティーサロンに行ってみると、見渡す限りみな女性。以前ロンドンに滞在していた時にどうしてもアフターヌーンティーを食べたくてザ・サボイのティーサロンに行きましたが、一人で来ているお客なんて他にはいなくて、みんな母娘や女性同士の友人と来て、お茶を数時間楽しんでいるようでした。

3段重ねで出てくるお食事は一般的にはサンドイッチ、スコーン、ケーキの順にいただくことが多いようです。イギリスのスコーンは、食が充実している日本でもなかなか食べられなくてたまに自分で焼いちゃいます。このボソボソとしたドライで甘くないのがおいしいんですよねぇ。次にいただくケーキはかなり甘め。紅茶がすすみます。

食事がおいしくないと言われるイギリスで、まさかの食い倒れ紀行!個人的にはパブフードとブレックファーストとアフターヌーンティーでほとんど制覇だと思うのですが、まだまだ記事ネタは続きますので、続きは次回に持ち越します。乞うご期待!