8ヶ国語を話すマルチリンガルの個人ブログ

「『本日校了!』にみる売れる本のつくり方セミナー」に参加

「本日校了!」というWebマガジンをご存知ですか?

「本日校了!」とはそれぞれ別々の出版社で働く4人の女性編集者が作る、本作りと本作りをする人たちにまつわる記事が紹介されているWeb媒体。立ち上げと同時に、『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』や『どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法』などのミリオンセラーを次々に担当されている、サンマーク出版の黒川精一編集長のロングインタビューが掲載されたと言うこともあり”出版社業界関係者なら知らない人はいない”と言うほど話題になったWebマガジンです。

女性ならではの完成がベストセラー作りにも生かされる

今回のセミナーは2部構成。第1部でWebマガジン立ち上げの秘話からスタート、マガジンに載せた思い、苦労などを聞いた後、第2部では4人の編集者一人一人が関わってきたベストセラー本を例に、”売れるづくりの秘訣”を一人当たり30分以上じっくりかけて聞き出していく言う内容でした。

昨年に本を出して「著者の仲間入り」をさせていただいてからこれまでお会いした編集者は30余名。パーティなどでお会いすることも多く、一人一人の編集者の方からじっくりお話を聞く機会は多くはありません。ましてやベストセラー作成秘話などレアすぎて本当にこのお値段(2,000円)で良いのかと!

印象的だったのは、やはり女性の働き方と男性の働き方の違いから生まれる、モノ(本)作りに対する情熱のかけ方の違い。というか、視点と行動の違い
出版に限らず何かを仕掛けたり作り出す仕事につかれている方の場合、男性だとやはりその時の「トレンド」だったりとか、「何が次に売れそう」とか、ベンチマーキングを含む分析をした後、モノづくりをする傾向が強いように思います。つまり時代に合わせて、ある程度売れる見込みのある商品を作った上で、売り方などは時代に合わせて微調整していくといったところでしょうか。

しかし女性の働き方は「情熱や思いが先に来る」と言うことを。今日のセミナーから学びました。例えばタイトルや章タイトルなどの「言葉出し」は、生活する中で偶然に出てきた言葉をメモしておいて、ぴったりの企画に出会った時に使う「こういうことを言われたら女の子が嬉しいかも!」を大切にする。「ケーキを食べながら誰かが言ったことを拾う」など。セオリーを使ってロジカルに物事を組み立てると言うよりは、感情で組み立てるといった印象を強く受けました。「感情第一になると本のベクトルがズレない」からという、池田るり子さんの言葉が印象的でした。編集者は作家にとって第一の読者。このファースト読者に作品の第一のファンになってもらい、時にはエールをもらったり、お叱りを受けなければ本は完成しません。私の担当編集者は2社とも女性ですが、今回の学びを意識しながら今後の関係性づくりにもちゃんと役立てたいと思いました。

ベストセラー方程式

セミナーを聞いた後の感想は、この一言。

作家の熱意 x 編集者の熱意 x 応援者の熱意 x 出版社営業 x 書店担当者 = ベストセラー

熱意は人を動かします。
作家の仕事は良い本を作ること。
しかしいくら良い本を作っても売れなければアイデアは広がりません。良い本を作る時は編集者と作家の二人三脚で「校了」というゴールへ向かいますが、良い本を広めるためには強力なチームの力が必要となるのです。つまり「出版社の営業」と「書店担当者」が、この方程式に加わることが何よりも大切なのだと思います。加えて近年のベストセラーはSNSでの広がりも重要。これは作家だったり、作家のアイデアに賛同して応援してくれる人たちが自発的に広めてくれる行動。これも欠けてはならないとても重要な要素です。

これまでに私が作ってきた本の中でもっとも売れたのは『30日で英語が話せるマルチリンガルメソッド』でしたが、この本の時はこのベストセラーの法則が生かされていました。大阪へはほぼ毎月出張することもあって、行くたびに紀伊国屋書店梅田本店にて英語コーナー売り場担当者様にご挨拶させていただいたら、手書きのポップを作ってくださったのです。書籍の売上データを見せていただくと、紀伊国屋書店での売上がもっとも多いのも納得です。これまでにも諸先輩方や編集者の方からこの方程式について聞いたことはありましたが、改めて成功例を聞くことで自作を売っていくイメージが具体的になりました。「本日校了!」作成チームの4名の編集者様、素晴らしい気づきをいただきありがとうございました。

作家、作家の卵に限らず、まだこのWebマガジンを見たことがないっていう方は、ぜひ一度読んでみてください。手土産の記事とか、筆記用具の記事とか、誰にでも役立つ情報も満載です!